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「母たちの村」 (Moolaade)

フランス・セネガル合作

初めてアフリカ人監督によるアフリカの映画をみた。
西アフリカの小さな村で、ある日、女性(コレ)の下に、4人の少女が割礼を嫌がり逃げ出して来た。割礼が原因で、死産となった経験から、割礼を廃止しようと立ち上がるコレ。伝統を守ろうとしないコレに対し、力ずくで押さえつけようとする村の男性と、割礼を施す一部の女性との闘いというストーリー。

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「割礼(FGM: Female Genital Mutilation)」って単語だけではピンとこないが、かなりおそろしい儀式。部族によっていろいろなやり方があるらしいが、女性が浮気しないように、性的快楽を感じる場所をそぎ落としてしまうというのがもともとの発想。麻酔もなにもなく衛生状態もいかがわしいところで、これまた煮沸なんかしていないようなナイフで、10歳くらいの女の子を対象に、「あの場所」を切り落とすのを「お浄めの儀式」としているのである。想像しただけでも卒倒しそう。

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さらに面倒なのが、お浄めの儀式を終えていないと、男性が結婚しないというのが風習なのである。女性が一人で稼ぐような社会体制になっていない中で、結婚できないというのは死活問題。

この映画自体は、ある部族の生活を描きながら、その中でFGMを扱っているため、そんなに残酷なシーンもなく、かなりのんびりとした独特の生活を垣間見るという点でも結構新鮮。「他の世界」から隔離され、築かれてきた独特の伝統や慣習(呪いとか祟りとかも含めて)に基づき、これまでどおりの社会秩序を守ろうとする一方で、ラジオやPKOに参加した兵士、フランスに留学していた村長の息子などから「他の世界」との接触があり、ゆっくりではあるが変わっていかざるを得ない。FGMについても、それを守ろうとする既存の勢力に対し、自分の体験に加え、ラジオで知識を得た女性が異議を唱え、「他の世界」を知っている人がその女性の支持に回ったという構造。面白かったのは、女性の中でも、FGMを施す「権威」をもっている女性(赤い服を着ている人たち)は、当然、FGMの廃止に強く抵抗する点。

アフリカ人男性の監督(ウスマン・センベーヌ)だからこそ、描けた視点というのもあるであろうし、FGMに対するインパクトも大きいだろう。

都内では、6/17~岩波ホールで上演中
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by yokopw | 2006-07-24 00:08 | 映画