「凧を追いかけて」(Kite Runner)

アフガニスタン人であるカレド・ホセイニ著のここ何年ものベストセラー。当然、映画化されて2月9日より日本でも公開されている。
ベストセラーであること以外、よく知らずにアメリカからのお土産で買ってきてもらったのだが、あっという間に引き込まれた。

舞台は1970年代のアフガニスタン。アミールとハッサンは同年代で兄弟のように一緒に育ってきたが、立場は全然違う。アミールはパシュトゥーン人(多数派で支配民族)でお父さんは勇敢でビジネスにも成功し、友達や隣人からも尊敬を集めている。一方ハッサンはハザラ人(少数派)でお父さんはアミールのお父さんの召使として働いている。
彼らの良好な関係は凧大会の日が最後となる。空に多数あがった凧がお互いに競り合い、残ったものが優勝するというのは日本と同じ。加えて、アフガニスタンでは、負けて落ちてきた凧、特に最後まで競り合った凧を手に入れると自慢できるらしく、みんなが落ちてくる凧を追いかける(kite runner)。ハッサンは、アミールのために凧を追いかけ、人気のないところに入り込み、パシュトゥーンのいじめっ子(っていうより根っからの悪)に絡まれ、レープされる。ハッサンを追いかけたアミールはこれを目撃するが恐怖から(加えて、ハッサンを結局友達とは思っていなかったからか)何もしない。
罪の意識に苛まれ、その後、アミールはハッサンを遠ざけるようになる。その後ソビエト侵攻でアメリカへ亡命。

20年後、ある電話がアミールをタリバン占領下のアフガニスタンに行くことになる。そして、最終的に、アミールはハッサンの子どもを養子に迎え、カリフォルニアで一緒に凧を上げる。

この映画はアメリカでも注目を集めている。ベストセラーをもとにしているからだけではない。出演した4人のアフガニスタンの俳優が、レープシーンが原因で脅迫されたことにより、スタジオは映画の封切を1ヶ月遅らせ、また、彼らとその家族はアラブ首長国連邦に亡命することとなったからである。下火になっていた民族間問題も、再燃するのではとの見方もでている。

これは小説であり、事実を綴ったものではないが、ここから、アフガニスタンの生活やアフガニスタン人の目から見たソビエト侵攻やタリバン政権を垣間見ることができる。例えば、凧上げはアフガンの子どもの間で人気があるとか、婚約前にデートはできないとか、夫が浮気をすれば妻の責任だとか、当初、ソビエト兵を追い出したタリバンは英雄だったが、徐々に恐怖の的になってきたとか。

9.11以降、アフガニスタンやタリバン政権についてちょくちょくニュースで聞く。小沢民主党代表が補給間をインド洋に派遣するより、アフガニスタンの陸に自衛隊を派遣するべきだとの意見を展開した作秋以来、特にである。

アメリカやNATOの要請を受け、数日前にドイツが派兵を決めたとのニュースを聞いたが、アフガニスタンの情勢は悪化しているようである。日本も人ごとではないであろう。

ところで、日本での映画のタイトルは、ハッサンがアミールに言っていた口癖、「君のためなら千回でも」である。どっちがより惹きつけるか?



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by yokopw | 2008-02-15 00:26 | 映画 

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