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A Touch of Spice

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“スパイス”のようにエスプリが効いていて、非常に印象的な映画。

監督のタソス・ブルメティスは、1957年イスタンブール生まれで、1964年に国外退去命令によって家族と共にギリシャに移住しており、主人公ファニスの経験は、監督自身の体験のようだ。映画から生まれ育った地としてのイスタンブールへの格別の思いが伝わってくる。

主人公ファニスは香辛料店を営むおじいちゃん子。おじいちゃんは、スパイスを使いながら、ファニスに料理、教養、生活の知恵など、様々な知恵・知識を授ける。
例えば、スパイスに関して、胡椒を太陽(全ての料理に必要)、シナモンをビーナス(女性をくどくにはシナモン?だったっけ?)、塩を地球、生命、そして人生(ないと味気ないものに)と表現。

しかし、キプロス島における争いをきっかけに、トルコはギリシャ人を国外追放することを決定し、ギリシャ国籍を持つ父とともに、ファニスはおじいちゃんや初恋の相手と別れてイスタンブールを離れることになる。アテネに移住しても純粋なギリシャ人でないことから順応できず、そのことがかえってファニスのイスタンブールへの思いを強くする。おじいちゃんのアテネ訪問の話もでるがドタキャンが続き、ファニスもイスタンブールへ脱走を企てるが失敗。

おじいちゃんが危篤の知らせを聞いて、ファニスは追放されてから初めてイスタンブールへ赴く。そこで、ファニスは、自分の人生にちょっとしたスパイス(a touch of spice)が欠けていたことを発見する。

私のイスタンブールの印象は、キリスト教とイスラム教とが入り混じり、いろいろな人種の人が生活している活気にあふれ、魅力的な大都市という感じ。実際に、その40年前の政治膠着に翻弄されたファニス、あるいは監督自身の人生とイスタンブールとを重ねて見ると、激動の歴史の中心に位置しているイスタンブールの別の表情を垣間見る気がする。

by yokopw | 2006-05-07 22:34 | 映画  

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