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ハンセン病 重監房の記録

宮坂道夫さんの「ハンセン病-重監房の記録-」を読んだ。
ショックだった。
ハンセン病といえば、映画「ベンハー」で、ベンハーのお姉さんとお母さんが地下牢でハンセン病(らい病)に罹り、皆に恐れられ、「死の谷」に送られたというストーリを思い出す。世界中で発生している恐ろしい病気だが、既に治療法もみつかり、ある種、「解決された病気」というくらいの認識だった。

手足が変形してしまうなど、症状が外にでるハンセン病患者に対しては、むかしから、この国でも共通して差別があり、隔離政策などの措置らしい。ただ、日本だけが突出して過酷な隔離をとり、また、療養所に「重監房」という独房まで設置していたという。実際、患者の生活環境改善などの運動をした人などが入れられ、何十人も命を落としている。

1931年にわが国ではらい予防法が制定され、全患者を隔離の対象とされ、最終的に廃止されたのは1996年である。1943年にはアメリカでプロミンという薬が開発され、感染力も低いということが次第にわかってきたのにである。

2003年にも熊本県でハンセン病元患者宿泊拒否事件が報道された際、未だにこんな差別が起きているんだと驚いたが、この事件について、本の中で元患者さん谺さんのコメントを紹介している。
「私達は、園のなかで、職員からひどいことばをぶつけられたりしてきて、それには慣れていたんです。しかし、今度の事件のことはこたえました」

法律は廃止できるが、その法制度が残した胎児標本などの問題や、さらに法制度を支えた人の根底の差別感情は、今も続いている。

by yokopw | 2006-04-25 23:11 | ちょっと考えたこと  

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