「ウェブ進化論」 ~ 「こちら側」vs「 あちら側」?? 

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リアルな社会を「こちら側」、パソコンを通じて広がるネットワーク社会を「あちら側」と全く別の世界と位置づけ、「あちら側」ではテクノロジーを駆使し、既存のルールや発想を越えて、新たな世界が構築されている様子が、ロングテール論やweb2.0などの現象を例にとり、わかりやすく説明されている。特に、エスタブリッシュメント層に対し、「日本は、このままでいいのか?」という危機感を煽っている。

あちら側の世界の構築には、人間ではなくテクノロジーをより信頼した組織を作り、少数の権威ではなく不特定多数が主張でき、不特定多数を狙ったマーケティングが展開されるなど、こちら側とは逆の秩序が作られつつある。
あちら側とこちら側と別の世界としているので、頭が切り替わり、PCから覗いたそこには、別の世界が広がっていくイメージがしやすい。

googleやamazonと、既に日常生活の一部になっているものが、実は、あちら側では新たな秩序に基づいて、新たな世界の構築に既に舵を取っているといわれると、あちら側のことに詳しくなくても実感しやすいし、よって、ショックにもつながりやすい。

が、よく考えると、わかったようでわからないことがいっぱい。
二つの世界として単純化して説明されている分、考えれば考えるほど、疑問がわく。
例えば、「あちら側」で何がおきているのか、現状の基礎的なところはわかったとして、「こちら側」と「あちら側」の関係はどうなっているのか?googleの組織として、実際にどうmanageされているのか?yahooとの相違や今後の展開は?

実際、著者の梅田さんは日本ではなく、シリコンバレーにいる。これって、「あちら側」の世界へのアクセスにも、日本という環境ではだめで、やはり「こちら側」の物理的な環境要因が重要になっているっていうことか。
また、「あちら側」に未知のすごい世界が広がっているとして、どこまで、我々の軸足はあちら側に移せるのか。仕事もショッピングもすべてネット上で完結し、百歩譲って、恋愛もネット上で完結するとしよう(アメリカでは今、男性凶悪犯が結構女性にもてており、中には刑務所で挙式する例もあるとCNNで報道していた。これが可能なのであればネット上でも可能かなあと…)。が、存在はこちら側である以上、「家」にすまないといけないし、ショッピングも、誰かが作って、売って、運んできてくれる「もの」なわけで、そこには、こちら側の社会に依存せざるを得ないわけでしょ?それとも、私の想像力の欠如なのだろうか?

ウェブの進化は、社会全体を巻き込んで変わる江戸時代から明治維新への変革のようなインパクトを与えるものなんだろうか。 あるいは、「株式市場」みたいに、もちろん社会経済システムの根幹の一部を形成しているが、個人としては、特に、興味がなければ関与しないでいいというようなものなんだろうか。

いずれにせよ、この本が、ウェブの進化についての共通のベースを与え、こうやってみんなが将来どうなるか、議論をする場を与えたという意義は大きい。私もこの本を読まなければ、こんなことは考えなかったから。
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by yokopw | 2006-04-18 23:03 | communication  

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